仮想通貨のイノベーション
ネット証券大手マネックスグループの松本大会長は2018年6月19日に東京・六本木で開かれた、
THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2018 TOKYOで「金融業界の規制とイノベーション」について講演した。
目次
30年前といまの類似点
松本氏はマネックス創業前、1980年代後半から1990年代にかけて、
デリバティブ(金融派生商品)の開発が盛んだった時期にソロモン・ブラザーズ・アジア証券や
ゴールドマン・サックス証券に勤務した。
当時は、世界各国がデリバティブを規制し、会計、税務のルールも定まっていなかった。
一方で、当時は最先端だったデリバティブの分野には、世界的な学者や研究者、エンジニア、
先進的な弁護士、会計士らが集まっていた。その規制によって色々なイノベーションが起きた。
松本氏は仮想通貨と規制をめぐる状況は、30年前のデリバティブと似ているし、
当時ソロモン、ゴールドマンでいっしょにやっていた先輩や同僚たちが、
暗号通貨のまわりに集まってきているという。
コインチェック事件後、金融庁は仮想通貨業界に対する監督を強めている。
松本氏は、仮想通貨をめぐる規制の状況を前向きにとらえているようだ。
「ポジティブに規制というものを考えて、イノベーションをつくっていくのがいいと思う。」と述べた。
コインチェック買収の5つの理由
マネックスグループは4月にコインチェックを買収した。コインチェックの買収には、5つの理由がある。
1. ボラティリティ
「暗号通貨は、ボラティリティ(価格の変動性)がある。ボラティリティがあれば、トレーディング対象として重要」
2. 新たな資産クラス
「仮想通貨の時価総額は、40兆円から50兆円ある。金の時価総額が800兆円くらい。重要な、新しい資産クラスになってきている」
3. 支払い手段
「いろいろな問題があるけれども、通常の銀行の仕組み、P2Pでクロスボーダーでお金を送るのはすごく大変なこと。それが、暗号通貨は簡単にできる」
4. 収益性
「現時点では非常に収益性が高いので、利益が上げられるということもある」
5. イノベーション
「一番私がエキサイトしているのは、イノベーションです。マーケットは常にグローバルですが、証券会社は常にローカルに規制される。ところが、暗号通貨は完全に世界に開かれている」
[引用6月21日 BUSINESS INSIDER]