米国最大級仮想通貨交換会社 日本に進出
米国最大級の仮想通貨交換会社コインベースが日本に進出する。改正資金決済法に基づく仮想通貨交換業の登録を年内にも金融庁に申請する方針だ。出資する三菱UFJフィナンシャル・グループと連携して日本市場を開拓する。実績ある海外大手の参入でセキュリティー強化と手数料低下が進めば、仮想通貨市場の健全化につながりそうだ。
コインベースは2012年創業で、企業価値が10億ドル(約1100億円)を超えるユニコーン(価値が10億ドル以上の未上場企業)として知られる。
仮想通貨関連口座やウォレットの利用者数は米国を中心に2000万人にも上る。
ネットワーク常時接続のホットウォレットがハッキングを受けた場合に全額補償される保険をかけている。また、全社員の5%以上をセキュリティー専門のエンジニアとして抱えセキュリティーに強い。ニューヨーク州金融サービス局による仮想通貨関連企業の認可であるビットライセンスも取得済み。
ビットコインやイーサリアムなど主要通貨を扱かっている。日本法人の社長には資産運用サービスのお金デザインで最高執行責任者を務めた北沢直氏が就く。北沢氏はセキュリティーや内部管理の責任者など十数人を集め、事業の立ち上げを急ぐ。
仮想通貨交換業と取引所の2つの事業を柱とする。米国で提供する仲介サービスには機関投資家やデイトレーダーも参加しており、
日本でも個人だけではなく機関投資家を開拓したい考えだ。
三菱UFJフィナンシャルグル-プは傘下の三菱UFJ銀行や三菱UFJキャピタルなどを通じて、16年7月にコインベースに10億円強を出資した。パートナー企業としてコインベースの日本進出を支援する。
外資大手が日本の仮想通貨市場を目指すのは成長余地が大きいとみているため。日本仮想通貨交換業協会によれば、日本の投資家数は3月の時点で350万人。海外の投資家に比べて売買頻度が高く、魅力的な市場に映っている。
しかし、1月にコインチェックによる巨額の仮想通貨流出の影響により参入のハードルは1年前に比べて格段に上がった。金融庁は仮想通貨交換会社に一斉検査に入り、業務改善、停止命令を相次いで出した。交換会社はコスト増を余儀なくされている。
外資大手ではクラーケンを運営する米ペイワードが日本法人をつくってみなし登録していたが、6月までの撤退を表明した。
香港のバイナンスは無登録業者で警告を受けた、
コインベースは逆にセキュリテーや投資家保護の安全性が強みになると判断し参入を決めた。
[引用 6月4日 日経新聞]